世界保健機関(WHO)も警告するスーパー淋病

世界的な蔓延を世界保健機関(WHO)が警告する病気が淋病というのを知っている方は少ないでしょう。
しかし、実際一般的な感染症や軽傷が致死的となるポスト抗生物質時代がくる可能性が高くて、抗生物質の開発・生産・処方の方法を変えないと、世界の公衆衛生は壊滅的になるとWHOの事務局長補が述べているのです。
国連機関の幹部が述べるような言葉とは考えられないおどろおどろしい文言ですが、大袈裟な表現といえない状況にあります。

実は、従来の抗生物質では死滅しない超強力な細菌に関する調査結果や医療状況などについて報告されているのです。
その報告によると世界の国々で抗生物質が効かない耐性を所有する黄色ブドウ球菌や大腸菌などが出現していて、警告レベルに達しているといわれています。
つまり、今までは抗生剤を服用することで完治していた結核・大腸炎・肺炎などの感染症が、150年前と同じ深刻な状況に逆戻りして、不治の病に再びなる可能性があるのです。

これは淋病にも言えることで、最初はペニシリンが効かない耐性菌ができて、その後様々な抗生物質が開発されては効かなくなっています。
日本においてセフィキシムは所定の投与量で効く人と効かない人が半々なので、現在は注射剤のセフトリアキソンという抗生剤が主に治療薬として用いられているのです。
しかし、この切り札ともいえるセフトリアキソンに対して、耐性をもつ淋病の原因菌が日本で発見されて世界の医療関係者に衝撃が走りました。
このセフトリアキソンにも耐性をもつのがスーパー淋病で、すでに誕生していてしかも世界で初めてスーパー淋病が発見されたのは日本なのです。

日本で確認されているスーパー淋病の事例は、京都市内にあるファッションヘルスに勤務する女性の定期検診で、のどが淋菌に感染していることがわかったのです。
その為、セフトリアキソンを投与したのですが、淋菌が消滅することがなかったので、菌を採取したのちに再度投与したところ菌が消えたというものです。
ただ咽頭淋菌は、約25%が自然になくなっていくことがあって、抗生剤が効いたのか自然になくなったのかは特定できないのです。
しかも採取した淋菌を解析するとセフトリアキソンに対して耐性をもっていて、スーパー淋病の発見につながったというのです。

日本でスーパー淋病が確認されている事例はこの京都の1件のみですが、海外では増加しつつあると言われています。
これまでも耐性菌と新薬のイタチごっこは続いてきたので、スーパー淋病に効果的な抗生物質の開発が望まれますが、いよいよ限界とも考えられていてWHOも異例の警告に踏み切ったのです。